はちみつに鎮咳効果!?

寒い季節に朗報が届きました。

世界のはちみつ市場は

2023年に89億4000万米ドルの規模と評価されており、2024年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)6.52%で成長すると予測されている。一方、日本の蜂蜜市場も堅調な成長が見込まれており、2024年には5億7370万米ドルに達し、2025年から2033年にかけて年平均成長率4.1%で成長することが見込まれている。蜂蜜は、食品や飲料としてだけでなく、近年は化粧品や医薬品といった分野での需要が増加しており、今後の成長も期待できそうだ。

はちみつ中から新規化合物発見

蜂蜜の栄養成分の中でも、今注目されているのが「メルピロール」だ。「メルピロール」とは、養蜂業大手の株式会社山田養蜂場、山田養蜂場健康科学研究所、理化学研究所、東京理科大学の研究グループとの共同研究により、2023年に発見された、蜂蜜に含まれる新規化合物だ。

これまでにも、蜂蜜に鎮咳効果があるらしいことは多くの論文などで報告されてきた。実際、咳止めを目的に、世界中の医療現場や民間療法などで蜂蜜が利用されてきた。

「喉の痛みを和らげる」はちみつのおススメの食べ方をご紹介

ところが、その活性成分や作用機序については明らかにされていなかったのだ。そこで、共同研究チームでは咳誘発モデルを用い、蜂蜜及び蜂蜜に含まれる成分に鎮咳作用があるかを調べたところ、蜂蜜の鎮咳成分として新規化合物「メルピロール」の発見に至ったという。

メルピロールの効用

また、同研究によると、蜂蜜に含まれる2つの鎮咳成分「メルピロール」と「フラジン」に活性することで、医療現場や市販薬として用いられている鎮咳薬「デキストロメトルファン」に匹敵する鎮咳効果があることが世界で初めて確認されている。この研究は、2023年9月発行された科学雑誌 「Journal of Agricultural and Food Chemistry」にも掲載されている。

そして今、この効果が注目されているのには理由がある。新型コロナ禍が明けて、マスク生活から解放されるとともに、年間を通じて咳に関する病気が流行るようになっているのだ。それにより鎮咳薬が不足の状態が続いている。風邪や気管支炎、百日咳など、咳にもいろいろな症状があるが、子どもの患者や、薬の副作用が心配な人など、なるべく薬を服用したくないと考える人にとって、医薬品の咳止め薬に匹敵する鎮咳効果が期待できる蜂蜜は救世主のような存在かもしれない。

ハチミツにはメルピロールのほかにも、微量ではありがビタミンB群、ビタミンC、ミネラルがなど種類は様々含まれている。さらに、フラボノイドやフェノール酸などの抗酸化物質も体内から活性酸素を除去し、老化防止や病気予防に役立つといわれている。まだまだミツバチパワーは侮れませんね。

参考記事:EconomicNews

 

APIMONDIA2025年で日本の大手養蜂企業が発表

今年の会議で発表したのは、蜂蜜の咳止め成分に関する研究成果です。山田養蜂場 健康科学研究所の谷 央子研究員が、10年にわたる研究の末、蜂蜜の咳止め成分として新規化合物の「メルピロール」と、咳止め効果が新たに判明した既知化合物「フラジン」を特定し、規格化にも成功したことを発表しました。

 蜂蜜を用いた試験では、対照群と比較して咳の回数が有意に減少し、この作用は単なる喉の保湿効果による咳の緩和ではないことが示されました。さらに、メルピロールとフラジンには市販の鎮咳薬であるデキストロメトルファンに匹敵する咳抑制効果が確認され、その作用機序には一酸化窒素を介した咳反射の抑制が関与している可能性が見出されました。発表後には活発な質疑応答が交わされ、咳止め効果を活かした蜂蜜製品の開発に対して、世界各国から高い関心が寄せられていることが伺えました。

 山田養蜂場は、メルピロールが規格化された蜂蜜の商品化を2026年に目指しています。今後もミツバチ産品や天然素材の研究・開発を通じて養蜂産業の発展に貢献するとともに、その成果を世界へ発信し、人々の健康で豊かな暮らしと長寿社会の実現に寄与してまいります。


■蜂蜜の鎮咳成分「メルピロール」特定について、詳細はこちら

■本研究成果の論文は、こちらの学術雑誌でご覧いただけます

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jafc.3c03864